QOLと補綴(ほてつ)
日本は超高齢化社会を迎えており、医療界では老齢者や障害者のクオリティオブライフ(QOL)が話題になっています。クオリティオブライフは「生活の質」と訳せますが、自立し健康的な家庭生活および社会生活が送れる状態を指します。例えば、視力の悪い人がメガネをかけることによって不自由なく快適な生活ができるようにすることをQOLの向上といいます。
いわゆる「いきいき老人」と「寝たきり老人」を比較したレポートによると、残っている歯の数が多いか少ないか、また入れ歯を使っているかいないかの違いが目立ちます。
よく噛んで食べられること、自由に歩けることは生活の基本です。歯のない人が適正な入れ歯やブリッジのような補綴治療を施すことによって、食生活が改善し健康になると同時に、見た目も良くなりますので人前に出ることが苦にならなくなります。
歯が抜けた後の処置(歯科用語で欠損補綴といいます)の中でも、福岡市東区香椎の森本歯科ではインプラントによる方法をおすすめしています。1992年よりインプラント治療を開始し数多くの実績をもつ森本歯科が、インプラントの特徴や治療法などについて解説いたします。
インプラントは「第二の永久歯」
インプラントとは、病気や事故により歯を失った際に行われる補綴治療の一種です。歯の根の代わりとなるチタン製のパーツを顎骨に埋入し、その上に人工の歯を装着します。
ご存じの通り、永久歯は生え変わることがありませんので、一度でも抜けてしまえばそのままの状態になってしまいます。入れ歯やブリッジのような従来の補綴治療法では、天然歯と比べるとどうしても審美面・機能面の点で劣っていました。一方インプラントは、自分の歯とほとんど変わらない見た目、使い心地を得られることから「第二の永久歯」と言われています。
インプラントの構造
インプラントは、基本的に3つの構造から成り立っています。歯の根の代わりとなるインプラント(人工歯根)、歯の代わりとなる人工歯(上部構造)、そして、インプラントと人工歯をつなぐ役割があるアバットメントの3つです。
インプラントとアバットメントは、チタンもしくはチタン合金で作られることがほとんどです。人工歯はレジンやセラミックなどで作成されますが、材質によって劣化のしやすさや値段が異なります。福岡市東区香椎の森本歯科では、それぞれの特徴を歯科医師よりご説明いたしますので、患者様のご希望に沿った材質をお選びください。
インプラントにチタンが使われる理由
インプラント体がチタン、もしくはチタン合金で作られることが多いのは、チタンが骨と結合しやすい金属だからです。この性質はオッセオインテグレーションと呼ばれ、顎骨としっかり結合することでインプラント治療の魅力である天然歯のような噛み心地を実現します。
また、チタンは金属でありながら身体になじみやすく、アレルギー反応が出にくいという特徴があります。さらに、軽量で腐食に強いというメリットもあるため多くのインプラント体に用いられています。
インプラントの魅力とは?
歯を失った際の治療法としては、インプラント以外にも入れ歯やブリッジがあります。しかし、インプラント治療にはこれら従来の補綴治療にはない魅力がいくつもあります。
自分の歯のようによく噛める
インプラント治療の魅力の1つとして挙げられるのが、天然歯のような噛み心地です。チタンと骨がオッセオインテグレーションにより結合することで、せんべいのような硬い食べ物も義歯のズレなどを気にせず食べられます。
また、森本歯科ではオッセオインテグレーションをより促進するために、表面に細かな凹凸があるインプラントを採用しています。これは表面が滑らかなものよりもザラザラとした表面の方が、より骨と結合しやすいためです。
周囲の歯から浮かない自然な見た目
森本歯科では天然歯に近い見た目の人工歯が作れるセラミックやジルコニアといった材質をご用意しております。歯の形はもちろん、歯の色を変えることができるため、周囲のご自身本来の歯に混ざってもほとんど違いが分かりません。
また、人工歯を作製する歯科技工所を併設しているため、患者様のお口を歯科技工士が直接診て、より周囲の歯に近い見た目に製作することが可能です。さらに、患者様からのご要望を人工歯に迅速に反映することもできます。
周囲の歯に悪影響を与えない
入れ歯やブリッジは、義歯を支える柱として周囲の健康な歯を使うため、支柱となる歯には負荷がかかって寿命を縮めやすくなってしまいます。
それに対して、インプラントは基本的に1本の人工歯根に対して1つの人工歯が装着されているため、周囲の健康な歯に影響を与えません。他の補綴治療に比べると、自分の歯を将来に残すことができる治療法だといえます。
顎の骨が痩せにくくなる
顎の骨が痩せてしまう原因の一つとして、食べ物を噛むときの刺激がなくなることが挙げられます。
歯が生えている状態では、噛んだときの衝撃が歯から歯根、歯根から骨へと伝わることで顎骨が痩せることなく維持されます。しかし歯が抜けてしまうと、歯を噛み合わせられないため骨に刺激が伝わらず、身体が「ここの骨は不要だ」と判断して部分的に顎骨が痩せてしまいます。
インプラント治療は人工歯根を顎骨に直接埋入しますので、人工歯が他の歯と噛み合うことになります。天然歯と同じようにインプラントから骨へと刺激が伝わりますので、骨の維持につながります。
治療の寿命が長い
インプラントは、治療後も適切なメンテナンスを受けていれば10年、20年と長く使い続けられます。入れ歯は3~5年、ブリッジは7年程度で再治療や義歯の作り直しが必要になるため、他の補綴治療に比較するとインプラントの寿命は長いと言えます。
1965年に世界で初めて実施された歯科インプラント手術を受けた患者は、治療を受けてから亡くなるまでの約40年間、同じインプラントを問題なく使っていたと報告されています。正しく使えば第2の永久歯として、正しく機能してくれる寿命の長さはインプラント治療の魅力の一つと言えるでしょう。
インプラント治療も魅力だけではない
市販の風邪薬に副作用があるように、どのような薬・治療法にも注意すべき点があります。もちろん、インプラント治療も例外ではありません。デメリットも含めてしっかり理解しなければ、患者様が納得できる治療にはつながりません。私たちは良い面と悪い面の両方を知らなければ、治療について理解できたとは言えないと考え、インプラントの良い面ばかりではなく、悪い面もきちんとご説明いたします。
インプラントの治療の適応症
インプラント治療は、歯を1本失ったケースからすべての歯を失ったケースまで、幅広い症例に適応する方法です。1歯欠損のケース、複数本欠損のケース、全歯欠損のケースにおけるインプラント治療についてご紹介します。
1歯欠損したケース
インプラントを1本埋め込み、人工歯を入れます。ブリッジのように両隣の歯を削る必要がありませんので、周囲の歯をいためず長持ちさせることにつながります。
上あごの前歯のように見た目が重視される部分では、骨だけでなく歯肉の移植が必要な場合があります。
連続した複数の歯を欠損したケース
インプラントを数本埋入し、固定性のブリッジを入れます。インプラントは顎の骨と結合して支えられているので、部分入れ歯よりもインプラントブリッジの方がしっかりと噛めるようになります。また、義歯を支える金具などがありませんので、使い心地・見た目の違和感が少ないです。
すべての歯を欠損したケース
片顎の歯すべてを失った場合、義歯を固定するか取り外しできるようにするかを選べます。
より安全で安心できるインプラント治療のために
他の補綴治療と異なり、インプラント治療は外科手術が必要となります。そのため、通常の歯科治療よりも一層「安全」「安心」が重視されます。
森本歯科は、患者様に安心・安全なインプラント治療をご提供するために、歯科設備・機器を積極的に導入しています。
インプラント治療は保険適用外
インプラント治療は保険適用外の自由診療のため、保険適用の治療である入れ歯やブリッジと比べると費用が高額となります。一部、条件付きで保険適用のインプラント治療を受けられる方もいますが、ほとんどのケースは適用外です。
しかし、インプラント治療は医療費控除制度の対象ですので、確定申告の際に申告を行うと所得税が一部戻ってきます。森本歯科では治療費に関するご質問も受け付けておりますので、カウンセリング時などにお気軽にお尋ねください。